本記事はあくまで個人的な推測に基づくものです。
実際のサービス利用はご自身で慎重に判断してください。
目次
―「株を配る経済圏」という日本でもかなり異質な実験を解析する
前澤友作氏の「カブアンド」が話題になっている。
電気、ガス、モバイル、Wi-Fi、カード、保険、医療などを使うと「株引換券」がもらえ、それを株式に交換できる。
かなり奇抜に見える。
しかし、目論見書を読むと、これは単なる“ポイントサービス”ではない。
本質は、
「顧客を株主化する経済圏」
だ。
かなり面白い構造をしている。
まず、カブアンドは何をやっているのか
カブアンドは生活インフラ系サービスを展開している。
- 電気
- ガス
- モバイル
- 光回線
- ウォーターサーバー
- クレジットカード
- 保険
- Wi-Fi
- メディカル
など。
そして最大の特徴が、
サービス利用で「株引換券」が付与される
こと。
この引換券を使い、未上場の「カブアンド種類株式」を取得できる。
つまり、
「楽天ポイントの代わりに株を配る」
構造だ。
ただし、普通の株ではない
ここはかなり重要。
カブアンドが発行しているのは「種類株式」。
しかも、
- 議決権なし
- 非上場
- 残余財産分配なし
というかなり特殊な設計。
特に重要なのは:
「残余財産の分配を行わない」
という点。
つまり、仮に会社が破綻しても、通常株主のように残った財産を受け取れるわけではない。
投資商品として見ると、かなり権利は弱い。
では、なぜ人気なのか
理由は単純。
みんなが見ているのは:
「将来IPOしたら値上がりするかも」
だから。
実際、目論見書には、
上場申請時には種類株を普通株へ転換できる
と書かれている。
つまり実態としては:
「IPO期待付きの経済圏ポイント」
に近い。
このモデルの本当の強さ
かなり本質的なのはここ。
普通の会社は:
「株主がお客様」
だ。
でもカブアンドは逆。
「お客様を株主にする」
これをやっている。
これはかなり強力。
なぜなら、
- 電気
- 通信
- Wi-Fi
などは普通、価格競争になりやすい。
でも:
「株持ってるから続けよう」
が起きる。
つまり、
- 解約率低下
- 長期利用
- コミュニティ化
が発生する可能性がある。
実は“宗教”に近い構造
これは悪口ではない。
成功する巨大経済圏は全部、
- Apple
- Tesla
- 楽天
のように「帰属意識」を持つ。
カブアンドは、
「株主」
という極めて強い帰属装置を使っている。
つまり、
サービス利用を“投資体験”化
している。
これはかなり独特。
ただし、現状は赤字
2026年1月期は:
- 売上:約80億円
- 経常損失:約14.7億円
- 純損失:約13.5億円
となっている。
つまり、
「伸びてはいるが、まだ儲かっていない」
状態。
最大の問題:「株を配り続けて利益が残るのか?」
ここが本質。
普通のポイントなら、発行しても株式価値は薄まらない。
でもカブアンドは:
“株そのもの”を配る
つまり:
成長 = 希薄化
になりやすい。
実際、第1期〜第4期まで大量発行が続いている。
これは:
- 顧客獲得には強い
- 既存株主には重い
という両面を持つ。
カブアンド最大の武器
それでも、このモデルには強い部分がある。
それはCAC(顧客獲得コスト)を金融期待で代替できる
こと。
普通の通信会社は:
- CM
- キャッシュバック
- 広告
で顧客を取る。
でもカブアンドは:
「株がもらえる」
で集客できる。
これはかなり強い。
メディカル分野はどうなのか
ここがかなり面白い。
KABU&メディカルでは、
- オンライン診療
- 薬購入
などで株引換券が付与される。
実は医療は、通信や電気より強い可能性がある。
理由は:
「継続率が高い」
から。
例えば:
- 花粉症
- AGA
- ピル
- 不眠
- 慢性薬
などは毎月継続利用になる。
つまり、LTV(生涯顧客価値)が高い
ここは現実。
医療業界は:
- 規制
- 個人情報
- 医療品質
- 薬機法
など超重い。
なので、
「日本医療のOS」
になるのはかなり難しい。
現実的なのは:
- オンライン診療
- 処方薬配送
- 提携薬局
- 健康サブスク
など。
薬局事業は可能か?
可能。
ただし、
「自前で全国薬局チェーン」
はかなり重い。
現実的なのは:
- 提携薬局
- オンライン処方
- 配送
- アプリ統合
型。
これは十分あり得る。
実は一番怖いのは「全部中途半端」
今のカブアンドは:
- 電気
- ガス
- 通信
- 保険
- カード
- Wi-Fi
- 医療
まで広げている。
問題は:
「どれで圧倒的No.1を取るのか」
がまだ見えないこと。
つまり、
「広く浅く」
になる危険がある。
成功シナリオ
成功すると:
- 数百万会員
- 巨大経済圏
- IPO
- 金融サービス拡大
- 医療・保険統合
まで行く可能性はある。
構造としては:
- 楽天
- PayPay
- Amazon Prime
などに近い。
失敗シナリオ
逆に:
- IPOできない
- 株期待が消える
- 還元コスト重い
- 利益が出ない
になると、
「高コストなポイント経済圏」
になる危険がある。
本質的に、これは何なのか
カブアンドは、
「インフラ会社」
ではない。
本質は、
「株式を使った顧客ロックイン実験」
だ。
そして最大の問いは:
「人は“株主感情”によって、どれくらい長くサービスを使うのか?」
ここにある。
もしこれが成功すると、日本企業のマーケティング構造そのものが変わる可能性すらある。





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